8/29のFORTE Open Air 2009では去年と同じくBLIND ORCHESTRAが映像と照明を演出します。
会場となる山梨県・道志村の大渡キャンプ場は山に囲まれたロケーションで、夜はすっかり闇の中。そんな闇の中にいると、自分が暮らす都心がどれだけ光に溢れてるのかを改めて感じます。
そんな光というモノを考える上でいつも思い出すのが谷崎潤一郎著による「陰翳礼讃」。
"細雪"や"春吟抄"といった小説で日本の美を描き出した谷崎が、光と影が織りなす日本の美意識に対する一考察を綴った一冊です。
美は物体にあるのではなく物体と物体との作り出す陰翳の綾だと説くこの本は、闇を払拭しようとする昨今の光の在り方を批判し、闇がある事によって逆に浮かび上がり見えて来る美しさがあると訴える。
漆の黒い茶碗が闇に浮かぶ様や金屏風が遠く庭の向こうの光を受けて夢のように照り返す様、障子を通して部屋に入る光の柔らかさ、蝋燭や燈明の醸し出す幽玄な光の中に浮かび上がる女性の白い肌・・・
流石は谷崎潤一郎、端整な文体の行間からそこはかとないエロさが香り立つ。それがまた日本的で妙味一入。
昭和8年に書かれその後の近代建築学にも多くの影響を与えたと言われるこの本ですが、時代を超えて現代でも(というかあちこちに光が溢れ返る現代だからこそ)色々と気付かされる事が多いです。
晴耕雨読、梅雨時ですので時間があるようであれば是非ご一読を。
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